インタビュー 笹目友香(ささめゆか)

先生のご専門は何ですか?

聴覚障害のあるお子さんや大人のコミュニケーションについて研究をしています。コミュニケーションの中でも、言葉と気持ちが一致していない表現(例えば皮肉や冗談など。皮肉は、言葉では優しそうでも、本心では非難していますよね!例えば“図書館で走り回っている子どもに対して「元気なお子さんですこと」と言う”など)の理解について探求しています。
皮肉や冗談などは高度な表現ですが、理解できると友達や周囲の人とのコミュニケーションが楽しくなります。これらの表現がどのように理解されているのかを明らかにすることで、言葉と気持ちが一致していない表現の理解を促進するための教材や支援方法を考えたいと思っています。

新学部ではどのような授業を担当するのですか?

主に聴覚科学、共生社会演習、共生社会創成プロジェクトを担当予定です。

聴覚科学では、聴覚に関する内容について幅広く学びます。音の性質や、私たちがそれらをどのように聞いているのか、聴覚器の構造や機能も併せて学習します。さらに、聞こえと発声は密接に関わっていることから、発声発語についても学びます。聴覚機能が障害されるとはどういうことか、聴覚を活用するとはどういうことか、皆さんと一緒に学ぶ時間を作っていきたいと思っています。
共生社会創成プロジェクトは、他大学等の学生と合同で時事的な課題や社会的な課題に取り組む課題解決型のプロジェクトです。それまでに学んだ障害社会学分野、情報科学分野の知識をフル活用して課題解決に取り組みます。他大学の学生と交流しながら、他大学に所属するマイノリティに対する理解を深め、多様性社会への理解と共生について考える力を身につけ、実践経験を積んでいきます。
共生社会演習では、共生社会創成プロジェクトの発展形として、プロジェクトで見つけた課題に対し、どのような対策が可能かを議論していきます。さらなるプロジェクトに向け、多様な立場にある人が課題を解決する際に生じがちな摩擦を回避し、相互理解を得るためにはどうするか等についても議論します。

共生社会創成学部の受験を考えている学生へのメッセージをお願いします

皆さんは今、「大学生になったらこんなことがしたいな~」と思っていることはありますか?勉強、アルバイト、サークル活動、恋愛…色々あると思いますが、どれも、思い切り満喫してほしいと思います。と同時に、大学を選ぶ際には卒業した後のことも少し考えておくといいのではないかなと思います。
現代は、様々な分野における科学技術の発展や技術開発が進んでおり、少し先の未来も全く想像ができない状況です。10年後にどのような未来が待っているのかワクワクする一方で、「多くの職業がAIに取って代わられる」などとも言われています。そのような時代の中で生きていくためには「自分はどのようにして社会に貢献できるか」を考え、自ら動き、周りの人と協力していく力が必要であると思っています。また、お互いの違いを受け入れ、多様性を尊重するダイバーシティの概念が浸透し、その実現に向けて様々な動きがある中で、多様な背景をもつ人々と相互に理解しあう力が求められていると感じています。
共生社会創成学部では、聴覚障害学生と視覚障害学生が共に学ぶ科目があります。大学生のときに、まさにダイバーシティを体感し、共生していくために必要な実践を積む経験ができることは、社会に出てから大きな力になると思います。共生社会創成学部から、学部での学びを活かし社会に貢献する方々が現れることを今から楽しみにしています!
人生の幅を広げる4年間を一緒に過ごしましょう。

笹目先生画像 補聴相談を行っている様子