文部科学省令和7年度読書バリアフリーコンソーシアム事業「読書の際に使用する機器の貸出に関する実態調査」

目次

最終更新日:2025年2月6日

1.本コンソーシアムについて

文部科学省は様々な組織が連携して読書バリアフリー推進のための取組を行うことを支援しており、これを読書バリアフリーコンソーシアム事業と呼ぶ。筑波技術大学テクノロジーハブは、令和5年度から読書バリアフリーコンソーシアム事業を受託して実施している。

2.今年度実施したアンケートについて

目的

読書バリアフリー法成立以後、読書環境の整備が進んでいる。しかし、これらの整備はITリテラシーを有することを前提として進む一方、読みづらさを抱える方の機器の活用に関する支援は手薄である。

当事業では、令和5年度に、図書館の障害者サービス担当者が活用できる「読書×機器」に関する情報の現状を調査した。その結果、図書館の障害者サービス担当者の多くが他業務との兼務であり、支援技術に関する知識を得る機会が乏しいことが明らかとなった。

続く令和6年度には、読書の際に使用する支援機器の貸出状況を調査した。調査の結果、読書支援機器を館外貸出している組織は非常に少なく、地域的にも偏りがあることが判明した(昨年度調査結果公表ページへのリンク)。貸出を実施しているのは主に図書館であり、医療機関や障害者ITサポートセンターは展示にとどまっている。

そこで令和7年度のアンケート調査では、前年度までの調査を踏まえ、読書のための支援機器を借りることができる施設情報の拡充を図るとともに、貸出が行われない背景を明らかにするための調査を実施することとした。

調査時期

2025年8月~9月

調査対象

支援団体、開発事業者あわせて合計2,308箇所。昨年に引き続き、以下の情報から調査対象リストを作成し、送付した。

  • 「視覚障害者等用データ送信サービス」の送信承認館およびデータ送信館
  • 都道府県・指定都市難病相談支援センター一覧
  • 令和5年度ICTサポートセンター等の設置状況
  • 厚労省 補装具装用訓練等支援事業
  • 神経難病対策に取り組んでいる病院
  • ロービジョン対応医療機関リスト
  • 上記各リストに連絡先を公開している機関

協力依頼時の内訳

協力依頼時の内訳を以下に示す。

  • 難病相談支援センター 67
  • ロービジョンケアを実施している病院 501
  • ICTサポートセンター 45
  • 「視覚障害者等用データ送信サービス」の送信承認館およびデータ送信館(R7年度時点) 451
  • 神経難病対策に取り組んでいる病院 67
  • 介護・実習普及センター 32
  • 障害者リハビリテーションセンター 28
  • (一般社団法人)日本福祉用具供給協会に登録している事業者 1,057
  • 開発事業者 60:※「日本障害者コミュニケーション支援協会参加企業」、「サイトワールド出展者」に連絡先を公開している機関

方法

協力依頼を郵送し、回収はGoogleFormsを用いたオンラインでのウェブアンケートを用いた。回収は一部メールにて対応した。

なお、本調査における貸出は、各組織の備品を外部に持ち出す際の手続きとした。

回収率

全体 243箇所(回収率 10.52%、内訳は回答内容に基づくもの)

うち、宛先不明によって返送されたものが16件。 内訳:

  • 図書館 166件(障害者ITサポートセンターとの重複 2件、福祉用具取扱事業者との重複 1件、その他との重複 1件)
  • 医療機関 27件
  • 障害者ITサポートセンター 12件(図書館との重複 2件、介護・実習普及センターとの重複 1件)
  • 介護・実習普及センター 3件(障害者ITサポートセンターとの重複 1件)
  • 福祉用具取扱事業者 19件(図書館との重複 1件、開発事業者との重複 1件、その他との重複 1件)
  • 開発事業者 5件(福祉用具取扱事業者との重複 1件)
  • その他 18件(図書館との重複 1件、福祉用具取扱事業者との重複 1件)

アンケート内容

アンケートの内容(簡略版)を以下に示す。詳細は付録参照のこと。

なお、括弧の中の番号は本資料中の見出し通し番号を指す。

  1. 読書支援機器の所有と貸出状況
  2. 機器の貸出を行っていない理由
  3. 読書支援機器の貸出条件
  4. 読書支援機器の貸出条件のうち、障害種別にかかわるものはどのようなものか
  5. 読書支援機器の貸出条件を障害種別に指定している理由
  6. 読書支援機器の貸出の(年間)件数
  7. 読書支援機器の一回あたりの貸出期間
  8. 読書支援機器貸出の際の利用者負担
  9. 読書支援機器のレンタル料の詳細
  10. 読書支援機器の貸出在庫管理

参考:前年度調査

前年度は、支援団体、開発事業者あわせて合計1,895箇所に送付し、94か所の回答を得た。前年度行った調査は下記URLにおいて掲載している。今年度は、この前年度調査をベースとして調査先の追加のほか、質問の変更も加えている。

https://www.i.tsukuba-tech.ac.jp/techhub/2024surveyresults/

3.結果

(1)読書支援機器の所有と貸出状況

所有している機器

「拡大読書器」が171件(70.4%)と最も多かった。次いで、「デイジー機器」149件(61.3%)、「パソコン」116件(47.7%)であった。

貸出を行っている機器

「デイジー機器」が90件(37.0%)と最も多く、次いで「拡大読書器」22件(9.1%)であった。

なお、「音声読書機」は再集計により 11件(4.5%)となった。

設定・操作説明を個別に行っている機器

「デイジー機器」が81件(33.3%)と最も多く、次いで「拡大読書器」75件(30.9%)、「パソコン」51件(21.0%)、「音声読書機」47件(19.3%)、「タブレット」34件(14.0%)であった。

研修会を行っている機器

「デイジー機器」が11件(4.5%)と最も多く、次いで「スマートフォン」および「タブレット」がそれぞれ10件前後であった。

相談先を紹介している機器

「デイジー機器」が52件(21.4%)と最も多く、次いで「拡大読書器」34件(14.0%)、「音声読書機」32件(13.2%)、「パソコン」26件(10.7%)、「点字ディスプレイ」26件(10.7%)であった。

購入時の給付申請等をサポートしている機器

「拡大読書器」が26件(10.7%)と最も多く、次いで「音声読書機」20件(8.2%)、「デイジー機器」18件(7.4%)であった。

集計結果

表1-aは「読書支援機器の所有と貸出状況のクロス集計(台数)」です。

表1-bは「読書支援機器の所有と貸出状況のクロス集計(割合)」です。

表1-a. 読書支援機器の所有と貸出状況のクロス集計(台数)
機器 所有(台数) 貸出(台数) 設定・操作説明(台数) 研修会(台数) 相談先を紹介(台数) 購入時の給付申請等をサポート(台数)
デイジー機器 149 90 81 11 52 18
スマートフォン 23 2 31 12 22 6
タブレット 74 11 34 10 23 5
パソコン 116 5 51 8 26 6
拡大読書器 171 22 75 5 34 26
音声読書機 88 11 47 5 32 20
点字ディスプレイ 44 6 19 3 26 11
点字プリンタ 72 4 8 1 21 5
スイッチ 5 3 5 1 13 6
その他 38 9 17 5 10 5
表1-b. 読書支援機器の所有と貸出状況のクロス集計(割合)
機器 所有(%) 貸出(%) 設定・操作説明(%) 研修会(%) 相談先を紹介(%) 購入時の給付申請等をサポート(%)
デイジー機器 61.3% 37.0% 33.3% 4.5% 21.4% 7.4%
スマートフォン 9.5% 0.8% 12.8% 4.9% 9.1% 2.5%
タブレット 30.5% 4.5% 14.0% 4.1% 9.5% 2.1%
パソコン 47.7% 2.1% 21.0% 3.3% 10.7% 2.5%
拡大読書器 70.4% 9.1% 30.9% 2.1% 14.0% 10.7%
音声読書機 36.2% 4.5% 19.3% 2.1% 13.2% 8.2%
点字ディスプレイ 18.1% 2.5% 7.8% 1.2% 10.7% 4.5%
点字プリンタ 29.6% 1.6% 3.3% 0.4% 8.6% 2.1%
スイッチ 2.1% 1.2% 2.1% 0.4% 5.3% 2.5%
その他 15.6% 3.7% 7.0% 2.1% 4.1% 2.1%

その他として回答のあった製品の分類は、以下の通り。

  • ルーペ 19件 (ルーペ、拡大鏡、虫眼鏡、リーディングルーペ、照明拡大鏡)
  • リーディングトラッカー 11件 (リーディングトラッカー)
  • 録音図書再生機器 4件 (MP3プレーヤー、CD再生機)
  • 音声コード読み取り装置 3件 (スピーチオ、テルミー)
  • 立体コピー機 3件
  • 書見台 3件
  • 筆談ボード 2件
  • レコーダー 2件
    (メモリーカードレコーダー、ICレコーダー、カセットレコーダー)
  • 携帯用キーボード 1件 (rivo2)
  • 読書支援の補助装置(撮影支援器具) 1件 (ユアアイズボックス、よむん台)
  • 視覚障害者用福祉機器(音声時計・体温計・体重計・血圧計など) 1件
  • 老眼鏡 1件
  • レーズライター 1件
  • 点字器 1件
  • 点字ラベラー 1件
  • 音声色彩判別装置 1件
  • 自動ページめくり機 1件

まとめ

  • 機器を所有していても、館外貸出に対応していないことが多い。
  • 所有率は「拡大読書器」(70.4%)と「デイジー機器」(61.3%)が多いが、貸出率では「拡大読書器」(9.1%)と「デイジー機器」(37.0%)であり、所有と貸出に大きく差がある。
  • 「設定・操作説明」では、デイジー機器(33.3%)が最多で、拡大読書器(30.9%)やパソコン(21.0%)などが行われている。

(2)読書支援機器の貸出を行っていない場合、その理由

読書支援機器の貸出を行っていない理由について自由記述形式で尋ねた内容を、カテゴリーに再分類した結果を図1に示す。開発事業者については開発・販売機器、支援団体については読書支援機器について、それぞれ貸出を行っていない理由を尋ねた(n=131、複数回答ありで全回答数は174)。

図1. 読書支援機器の貸出を行っていない理由の棒グラフ

同一データの表を次の要素に掲載している。読書支援機器の貸出を行っていない理由を示す棒グラフ
図1は、読書支援機器の貸出を行っていない理由をカテゴリー別に棒グラフで示したものである。最も多い理由は「機器未所有・台数不足」で、47件(50.0%)と全体の約半数を占める。次に多いのは「利用希望・要望の欠如」26件(27.7%)、続いて「高価・破損リスク・管理負担」24件(25.5%)となっている。「館内利用を優先・限定」は17件(18.1%)、「他機関・外部連携による対応」は13件(13.8%)、「機器特性(据置型・大型)」は11件(11.7%)である。そのほか、「貸出体制の未整備」10件(10.6%)、「業務範囲外・事業対象外」7件(7.4%)、「試用・体験のみ対応」6件(6.4%)、「その他」5件(5.3%)、「予算・人員不足」4件(4.3%)、「制度・規約・方針上の制約」3件(3.2%)、「使用説明・人材不足」1件(1.1%)が挙げられている。複数回答であるため、合計は100%を超える。全体として、貸出が行われていない理由は「機器がそもそも無い」または「台数不足」といった設備面の問題が最も大きく、次いで「需要の少なさ」や「管理コスト・破損リスク」などの運用面の理由が続くことが分かる。

集計結果

  • 機器未所有・台数不足: 47回(50.0%)
  • 利用希望・要望の欠如: 26回(27.7%)
  • 高価・破損リスク・管理負担: 24回(25.5%)
  • 館内利用を優先・限定: 17回(18.1%)
  • 他機関・外部連携による対応: 13回(13.8%)
  • 機器特性(据置型・大型): 11回(11.7%)
  • 貸出体制の未整備: 10回(10.6%)
  • 業務範囲外・事業対象外: 7回(7.4%)
  • 試用・体験のみ対応: 6回(6.4%)
  • そのほか: 5回(5.3%)
  • 予算・人員不足: 4回(4.3%)
  • 制度・規約・方針上の制約: 3回(3.2%)
  • 使用説明・人材不足: 1回(1.1%)

※複数回答のため、合計が100%を超える

自由回答の抜粋

  • 「機器を所有していない。所有、保管、管理に費用が掛かる。」(福祉用具取扱事業者)
  • 「大型機器であることやすでに利用者が個人で持っているため」(その他)
  • 「複数台所有していないため」(図書館)
  • 「設置台数に限りがあり、複数人数に対する一定期間の同時貸与も困難であるため、館内利用のみに限定しています。」(図書館)
  • 「館内での利用案内用に保有しているものなので、数も少なく貸出管理の体制が整っていない。」(図書館)

まとめ

  • 機器未所有または台数不足が最も多く、約半数が機器未所有や台数不足を貸出をしていない理由に挙げている。
  • 利用者からの要望がないことを理由とする回答も約3割と多い。
  • 高価な機器の破損リスクや管理負担を懸念する回答も約4分の1と多い。
  • 館内利用に限定することで貸出を行っていないケースも約2割ほど見られた。
  • 他機関との連携や外部への紹介で対応しているケースもいくつか見られた。

読書支援機器の貸出を行っていない理由の事業種別ごとのクロス集計

読書支援機器の貸出を行っていない理由の事業種別ごとのクロス集計を表2に示す。

表2.貸出を行っていない理由と事業種別を単純なクロス集計で示したもの
理由 図書館 医療機関 福祉用具取扱事業者 障害者ITサポートセンター その他
機器未所有・台数不足 34 8 2 2 1
利用希望・要望の欠如 16 2 4 1 3
高価・破損リスク・管理負担 17 5 1 0 1
館内利用を優先・限定 15 2 0 0 0
他機関・外部連携による対応 2 4 0 3 4
機器特性(据置型・大型) 10 0 0 0 1
貸出体制の未整備 8 1 0 0 1
業務範囲外・事業対象外 4 0 1 1 1
試用・体験のみ対応 5 0 0 0 1
そのほか 1 0 1 1 2
予算・人員不足 3 0 0 1 0
制度・規約・方針上の制約 2 0 1 0 0
使用説明・人材不足 0 1 0 0 0
表2は、読書支援機器の貸出を行っていない理由を、事業種別ごとに集計したクロス集計である。行は貸出を行っていない理由、列は事業種別(図書館、医療機関、福祉用具取扱事業者、障害者ITサポートセンター、その他)で構成されている。各セルには該当件数が入り、濃いほど件数が多いことを示す。最も濃いセルは「図書館 × 機器未所有・台数不足」で34件となり、図書館で貸出が行われていない主因が機器不足であることを示す。次に濃いのは「図書館 × 利用希望・要望の欠如」(16件)、 「図書館 × 高価・破損リスク・管理負担」(17件)、 「図書館 × 館内利用を優先・限定」(15件)であり、図書館では所有や管理にまつわる課題が集中している。医療機関では「機器未所有・台数不足」(8件)、「高価・破損リスク・管理負担」(5件)、「他機関・外部連携による対応」(4件)が比較的多く、医療機関が所有よりも外部機関との連携によって対応している傾向が分かる。また「使用説明・人材不足」が1件あり、これは医療機関のみで見られる理由である。福祉用具取扱事業者では「機器未所有・台数不足」(3件)、「業務範囲外・事業対象外」(2件)、「利用希望・要望の欠如」(2件)が主な理由で、事業目的や対象範囲そのものが貸出に適さないケースが多い。障害者ITサポートセンターでは「他機関・外部連携による対応」(3件)が最も多く、センターごとに得意とする障害種別が異なるため、連携によって補完する体制が読み取れる。「その他」では各理由が分散しつつも、「他機関・外部連携による対応」が4件で最も多い。全体として、クロス集計は「機器未所有・台数不足」がいずれの事業種別においても主要な理由である点を視覚的に強調している。また、図書館では複数理由が高頻度で出現し濃く表示され、医療機関やITサポートセンターでは外部連携の比重が高いことが色の濃淡から分かる。

事業種別ごとの特徴

【図書館】(117件)

  • 回答数が最も多く、全体の約67%を占める。
  • 主な理由は「機器未所有・台数不足」(34件)、「高価・破損リスク・管理負担」(17件)、「利用希望・要望の欠如」(16件)、「館内利用を優先・限定」(15件)。
  • 機器の保有や管理に関する課題が多い。
  • 館内利用に限定することで貸出を行っていない図書館も多い。
  • 「機器特性(据置型・大型)」も10件と特徴的で、拡大読書器などの据置型機器を保有している図書館での貸出困難さを示している。

【医療機関】(23件)

  • 「機器未所有・台数不足」(8件)、「高価・破損リスク・管理負担」(5件)、「他機関・外部連携による対応」(4件)が主な理由。
  • 他機関との連携により対応している傾向が見られる。
  • 「使用説明・人材不足」は医療機関のみが挙げている理由。

【福祉用具取扱事業者】(10件)

  • 「機器未所有・台数不足」(3件)、「業務範囲外・事業対象外」(2件)、「利用希望・要望の欠如」(2件)が主な理由。
  • 事業の範囲や対象の問題が比較的多い。

【障害者ITサポートセンター】(9件)

  • 「他機関・外部連携による対応」(3件)が特徴的。
  • センターごとに得意とする障害種別があり、他の支援団体と役割分担している傾向が見られる。
  • 回答数が少ないながらも、多様な理由が挙げられている。

まとめ:クロス集計から見える傾向

  • 図書館では、機器の所有・管理に関する課題が最も大きい。特に「機器未所有・台数不足」が34件と突出している。
  • 医療機関や障害者ITサポートセンターでは、他機関との連携による対応が比較的多い。
  • 「館内利用を優先・限定」(館内利用に限定している機器のため、貸出は行っていないという理由を示した回答)は図書館に特化した理由(15件/17件)であり、図書館の運営方針の特性が反映されたものだと思われる。
  • ネットワークの中で役割分担していることから、貸出そのものは行っていないという事情が推察される。役割分担がなされている背景として、組織ごとに得意とする障害種別が分化しており、多様な障害種別に対応する際は連携および役割分担をしていると考えられる。

(3)機器の貸出条件

機器の貸出条件について尋ねた結果を図2.に示す。各パーセンテージは、1つでも何らかの貸出を行っていると答えた回答数(n=174)を母数とした(複数回答)。

元の選択肢

  • 条件はない
  • 病院を受診している
  • 診断を受けている(病名が確定している)
  • 障害者手帳を所有している
  • 要介護認定を受けている
  • 患者会や障害者団体等、特定の団体に加入している
  • 同じ自治体に居住している
  • 障害者に対する支援や教育を担っている
  • その他

図2. 機器の貸出条件について

同一データの表を次の要素に掲載している。機器の貸出条件の集計を示す横棒グラフ。『その他』が最も多く、次いで『障害者手帳を所有している』『同じ自治体に居住している』が多い。『診断を受けている』『要介護認定を受けている』『条件はない』『障害者に対する支援や教育を担っている』『病院を受診している』『患者会や障害者団体等、特定の団体に加入している』は比較的少ない。
図2は、機器の貸出条件として挙げられた項目の出現回数を示した横棒グラフである。複数回答のため合計は100%を超える。最も多い回答は「その他」で77回(44.3%)となり、突出して多い。「その他」には、各組織のサービス利用登録など、その組織特有の条件が含まれる。次に多い項目は「障害者手帳を所有している」で46回(26.4%)、続いて「同じ自治体に居住している」が33回(19.0%)である。「診断を受けている(病名が確定している)」は16回(9.2%)、「要介護認定を受けている」は15回(8.6%)と、医療・介護関連の条件が一定数みられる。「条件はない」は14回(8.0%)で、特に要件を設けていない支援団体も存在する。そのほか、「障害者に対する支援や教育を担っている」が12回(6.9%)、「病院を受診している」が11回(6.3%)、「患者会や障害者団体等、特定の団体に加入している」は6回(3.4%)である。棒グラフの視覚的特徴としては、「その他」の棒が他の項目に比べ圧倒的に長く、次点で「障害者手帳を所有している」「同じ自治体に居住している」が比較的長い。それ以外の項目は横棒の長さが短く、条件として挙げる組織が少ない傾向が読み取れる。

集計結果

  • 障害者手帳を所有している: 46回(26.4%)
  • 同じ自治体に居住している: 33回(19.0%)
  • 診断を受けている(病名が確定している): 16回(9.2%)
  • 要介護認定を受けている: 15回(8.6%)
  • 条件はない: 14回(8.0%)
  • 病院を受診している: 11回(6.3%)
  • 障害者に対する支援や教育を担っている: 12回(6.9%)
  • 患者会や障害者団体等、特定の団体に加入している: 6回(3.4%)
  • その他: 77回(44.3%)

※「その他」には、各組織のサービス利用登録など、組織固有の条件を含む

※複数回答のため、合計が100%を超える

その他の自由回答の抜粋

「その他」回答(自由記述)のうち、特徴的な回答を以下に抜粋する。必要に応じ匿名化を施している。

○特定の利用者サービスへの登録を必須とするケース

  • 「XX市図書館のハンディキャップサービス利用登録をしている。」(図書館)
  • 「XX(法人のサービス名)で利用登録者へのサービスとして読書器の貸出をおこなっている。」(その他)
  • 「ユニバーサルサービス登録者であること」(図書館)
  • 「図書館障がい者サービス登録者」(図書館)

○購入を前提とした貸出のみがされているケース

  • 「購入検討を前提とした機器選定の為のお試しが条件(例外あり)」(福祉用具取扱事業者)
  • 「購入を前提にお試しとして貸出している」(図書館)

まとめ

  • 「障害者手帳を所有している」が最も多く、約4分の1を占める。
  • 「同じ自治体に居住している」という地域要件を設けているところも約2割。
  • 「条件はない」と回答した機関も約8%存在する。
  • 「その他」が5割弱を占めており、各組織の利用登録など、組織固有の貸出条件を設けている機関が多い。
  • 医療機関では「病院を受診している」「診断を受けている」といった医療関連の条件が設定される傾向がある。
  • 図書館などでは「同じ自治体に居住している」や各館のサービス利用登録を条件とすることが多い。

(4)対象とする障害種別

これらの機器について、主な対象とする障害種別を明確に限定している場合、その種別について尋ねた結果を図3に示す。各パーセンテージは、1つでも何らかの貸出を行っていると答えた回答数(n=174)を母数とした(複数回答)。

図3. 機器の貸出条件の集計棒グラフ

同一データの表を次の要素に掲載している。機器の貸出条件別の件数を示した棒グラフ。特に限定していないが 80 回で最も多く、次いで視覚障害 44 回、高齢にともなう視覚・身体機能の低下 19 回、肢体不自由 15 回、発達障害・学習障害 15 回、その他 13 回と続いている。

集計結果

  • 特に限定していない: 80回(46.0%)
  • 視覚障害: 44回(25.3%)
  • 高齢にともなう視覚・身体機能の低下: 19回(10.9%)
  • 肢体不自由(例:手指の操作困難、姿勢保持の困難など): 15回(8.6%)
  • 発達障害・学習障害(例:読字困難、集中困難など): 15回(8.6%)
  • その他: 13回(7.5%)

※「その他」には、出現回数が2回未満の障害種別や自由記述を含む
※複数回答のため、合計が100%を超える

まとめ

  • 約半数(46.0%)の機関が「特に限定していない」と回答しており、障害種別を限定せず幅広く対応している機関が約半数と考えられる。
  • 障害種別を限定している場合、「視覚障害」が最も多く約4分の1を占める。
  • 「高齢にともなう視覚・身体機能の低下」も約1割が対象としており、「視覚障害者および高齢者への対応」を限定的に行うケースも見られる。
  • 「肢体不自由」や「発達障害・学習障害」も一定数の機関が対象としている(各8.6%)。

クロス集計:対象とする障害種別×事業種別(クロス集計)による分析

対象とする障害種別と事業種別のクロス集計結果を表3に示す。各障害種別について、事業種別ごとの内訳を明らかにした(複数回答)。

表3. 対象とする障害種別と事業種別のクロス集計
障害種別 図書館 医療機関 福祉用具取扱事業者 障害者ITサポートセンター 開発事業者 その他
特に限定していない 55 6 5 3 1 10
視覚障害 25 7 1 1 2 8
高齢にともなう視覚・身体機能の低下 14 2 1 0 1 1
肢体不自由(例:手指の操作困難、姿勢保持の困難など) 13 0 0 1 1 0
発達障害・学習障害(例:読字困難、集中困難など) 13 0 0 0 0 2
その他 9 0 1 1 0 2

事業種別の回答

【図書館】(129件、複数回答可)

  • 回答数が最も多く、全体の約69%を占める。
  • 「特に限定していない」が55件と最多で、幅広い障害種別に対応している傾向。
  • 「視覚障害」を対象とする図書館も25件あり、専門的な支援も行われている。
  • 「発達障害・学習障害」(13件)や「肢体不自由」(13件)、「高齢にともなう視覚・身体機能の低下」(14件)も対象としており、多様な利用者に対応。

【医療機関】(15件)

  • 「特に限定していない」が7件、「視覚障害」が6件。
  • 視覚に関する専門的な医療機関としての特性を反映している。

【福祉用具取扱事業者】(8件)

  • 「特に限定していない」が3件、「視覚障害」と「高齢にともなう視覚・身体機能の低下」がそれぞれ2件。
  • 福祉用具の特性を活かした幅広い対応。

【障害者ITサポートセンター】(6件)

  • 「視覚障害」が3件、「特に限定していない」が2件。
  • 視覚障害に対するIT支援の専門性を活かした対応。

【開発事業者】(5件)

  • 「特に限定していない」が4件と、幅広い障害種別への対応を想定している。
  • 製品開発の段階で多様なニーズを考慮している様子。

【その他(統合)】(23件)

  • 複数の事業種別を混合した回答(8件)、および回答数が1件のみの事業種別(1件)、その他単独(15件)を含む統合カテゴリー。
  • 「特に限定していない」(10件)、「視覚障害」(8件)が主な対象。
  • 教育機関や専門支援機関が含まれると考えられる。

クロス集計から見える傾向

  • 図書館は障害種別を限定しない柔軟な対応が主流(55件/129件)。一方で、視覚障害に特化した専門的なサービスも提供されている(25件)。
  • 医療機関では視覚障害を対象とする傾向が強く(6件/15件)、専門的な医療サービスとの連携がうかがえる。
  • 障害者ITサポートセンターも視覚障害への対応が多く(3件/6件)、IT技術を活用した専門支援の特性を示している。
  • 事業種別によらず、「特に限定していない」という回答が多く(80件)、読書支援機器の貸出は幅広い障害種別に開かれている。

(5)貸出条件を明確に指定している場合

貸出条件を明確にしている場合を訪ねた。自由回答を分類しまとめた。適宜、匿名化を施した。

貸出を特定の障害種別に限定している主な理由

事業の対象が視覚障害者に限定されているため
  • 「視聴覚障害者情報提供施設であり、視覚障害者を対象とする機器のみを所有しているため。」(その他)
  • 「盲特別支援校図書館なので」(その他)
  • 「視覚障害者を支援する施設のため」(図書館)
  • 「視聴覚障害者情報提供施設であり、視覚障害者を対象とする機器のみを所有しているため。」(その他)
  • 「眼科なので視覚障害者が対象です」(医療機関)
  • 「当センター利用登録者は、視覚に障がいがあり身体障害者手帳を持つ方に限られているため。」(その他)
  • 「眼科外来のため」(医療機関)
組織で規定されているため
  • 「視覚障がい者向けサービスであり、主に視覚障がい者が対象となるため。」(図書館)
  • 「視覚障害等で通常の活字による読書が困難な方のみを対象としているため。」(図書館)
  • 「当館の障害者サービス(録音図書を貸出するサービス)の対象を、視覚障害者としているため」(図書館)
  • 「センターの貸出規程に定められている」(図書館, 障害者ITサポートセンター)
  • 「障害者サービス事業実施要綱に規定されているため」(図書館)
  • 「当センターの要綱に定められているため」(図書館)
  • 「読書機器を使うためには、バリアフリーサービスへの登録が必要であり、登録の為に障害種別を確認しているから。」(図書館)
  • 「利用対象者が見えないかた見えにくい方のため」(図書館)
著作権法第37条第3項に基づく制約
  • 「著作権法37条遵守のため」(図書館)
  • 「日本図書館協会におけるガイドライン『図書館の障がい者サービスにおける著作権法第37条第3項に基づく著作物の複製等に関するガイドライン』に基づき、限定している。」(図書館)
  • 「デイジー図書については著作権法第37条に該当する利用に当たるものか確認のため。判断は日本図書館協会のガイドラインに基づいて行っている。」(図書館)
  • 「著作権法第37条第3項の規定に沿った形での利用提供のため」(図書館)
機器自体が対象を限定しているため
  • 「視覚障害者向け機器のため」(開発事業者)
  • 「読書機器は録音図書、マルチメディアデイジー図書の閲覧用なので図書の利用対象者で再生機をお持ちでない方が対象。視覚障害者用福祉機器等は、視覚障害者支援として実施しているため。」(その他)
  • 「視覚障害者が使用する機器である為」(医療機関)
  • 「館外貸出を行っている機器がデイジー再生機のみであるため。」(図書館)

(6)年間の貸出件数

貸出事業の年間件数について尋ねた結果を図4に示す。 回答数(n=123)を母数とした。

図4. 貸出事業における年間貸出件数

同一データの表を次の要素に掲載している。年間貸出件数の分布を示す棒グラフ。詳細は本文に記載。

年間貸出件数の分布

  • 0件: 37件(30.1%)
  • 1-9件: 50件(40.7%)
  • 10-19件: 12件(9.8%)
  • 20-49件: 16件(13.0%)
  • 50-99件: 2件(1.6%)
  • 100-499件: 2件(1.6%)
  • 500件以上: 4件(3.3%)

まとめ

  • 約7割の機関が年間10件未満の貸出。
  • 中央値は3件と、少数の利用者への貸出が中心。
  • 一方で、年間500件以上の大規模な貸出を行っている機関も4件存在する。
  • 0件と回答した機関も37件(30.1%)あり、所有はしているが実際の貸出実績がないケースも含まれると考えられる。

クロス集計:年間貸出件数と事業種別のクロス集計

年間貸出件数と事業種別のクロス集計を表4に示す。

表4. 年間貸出件数と事業種別のクロス集計
件数区分 図書館 医療機関 福祉用具取扱事業者 開発事業者 障害者ITサポートセンター その他
0件 21 6 6 0 2 2
1-9件 37 4 1 2 1 5
10-19件 6 2 0 0 0 4
20-49件 10 1 0 2 0 3
50-99件 0 0 0 0 0 2
100-499件 2 0 0 0 0 0
500件以上 2 0 1 0 0 1

事業種別ごとの特徴

【図書館】(78件)

  • 回答数が最も多く、全体の約63%を占める。
  • 「1-9件」が37件と最多で、小規模な貸出が中心である。
  • 「0件」も21件あり、機器を所有しているが実際の貸出実績がない館も多い。
  • 一方で、「500件以上」の大規模貸出を行っている図書館も2件存在する。
  • 「100-499件」も2件あり、一定規模の貸出事業を展開している図書館も存在する。
  • 図書館は小規模から大規模まで貸出件数の幅が非常に広い。

【医療機関】(13件)

  • 13件の回答のうち、6件が「0件」。
  • 医療機関では機器の所有や紹介は行っているが、貸出まで行っているケースは少ない。
  • 貸出を行っている場合も「1-9件」(4件)、「10-19件」(2件)、「20-49件」(1件)と少数である。
  • 大規模貸出を行っている医療機関はない。

【福祉用具取扱事業者】(8件)

  • 「0件」が2件、「1-9件」が3件、「20-49件」が2件、「500件以上」が1件。
  • 貸出を行っている場合、一定の件数があるケースと少数のケースに分かれる。
  • 「500件以上」の大規模貸出を行っている事業者が1件存在する。

【開発事業者】(4件)

  • 「0件」が1件、「1-9件」が1件と、主に少数貸出である。
  • 試用・体験目的の貸出が中心と考えられる。

【障害者ITサポートセンター】(3件)

  • 3件の単独回答はすべて「0件」。
  • 貸出事業よりも、技術支援や相談対応が主な活動と考えられる。

【その他(統合)】(17件)

  • 複数の事業種別を混合した回答(7件)、回答数が1件のみの事業種別(1件)、その他単独(10件)を含む統合カテゴリー。
  • 「0件」(5件)、「1-9件」(5件)、「10-19件」(4件)、「20-49件」(3件)、「50-99件」(2件)、「500件以上」(1件)と幅広い分布。
  • 「500件以上」の大規模貸出を行っている機関が1件含まれる。

クロス集計から見える傾向

  • 図書館は貸出件数の幅が広く、小規模から大規模まで多様。約半数(37件/78件)が年間1-9件と小規模貸出である。
  • 医療機関は貸出実績がない(0件)ケースが約半数(6件/13件)と多く、貸出事業よりも医療・相談活動が中心である。
  • 大規模貸出(500件以上)を行っているのは図書館2件、福祉用具取扱事業者1件、その他1件の計4件で、専門的な支援を行う機関に限られる。
  • 全体的に年間10件未満の少数貸出が主流(87件/123件、約71%)だが、専門的な支援を行う機関では100件以上の大規模な貸出実績もある。

(7)支援機器の貸出期間

機器の貸出期間について尋ねた結果を図5に示す。

図5. 機器の貸出期間の分布

同一データの表を次の要素に掲載している。年間の貸出期間の分布を示した円グラフ。最も多いのは「〜1ヶ月まで」で39.8%、次いで「〜2週間まで」17.6%、「1週間以内」13.0%、「〜3ヶ月まで」13.0%、「〜3週間まで」5.6%、「〜3ヶ月以上」4.6%、「〜2ヶ月まで」4.6%、「〜応相談」1.9%。全体108件を母数とした割合を示している。

集計結果

貸出日数が0以上であった回答に対し、「1週間以内」「〜2週間まで」「〜3週間まで」「〜1ヶ月まで」「〜2ヶ月まで」「〜3か月まで」「〜3か月以上」「〜応相談」のラベリングを行った。0以上の有効な回答数(n=108)を母数としたパーセンテージを示した。

結果として、「~1ヶ月まで」が43件(39.8%)と最も多かった。次いで、「~2週間まで」が19件(17.6%)、「1週間以内」が14件(13.0%)であった。

  • ~1ヶ月まで: 43件 (39.8%)
  • ~2週間まで: 19件 (17.6%)
  • 1週間以内: 14件 (13.0%)
  • ~3か月まで: 14件 (13.0%)
  • ~3週間まで: 6件 (5.6%)
  • ~3か月以上: 5件 (4.6%)
  • ~2ヶ月まで: 5件 (4.6%)
  • ~応相談: 2件 (1.9%)

総回答数: 108件

まとめ

  • 貸出期間は1ヶ月までという条件が約1割(14件/108件、13.0%)。
  • 貸出方法や機器によって貸出期間が異なる場合がある(「~応相談」2件、「~3か月まで」14件など)。
  • 3ヶ月以上の長期貸出も一部の機関で実施されている(「~3か月以上」5件)。

(8)読書支援機器貸出の際の利用者負担

機器貸出の際の利用者負担について尋ねた結果を図6.に示す。各パーセンテージは、回答数(n=117)を母数とした。「送料のみ」には、往復送料、片道(返却送料)の回答を含む。

計算結果

結果として、「利用者負担はない」が88件(75.2%)と最も多かった。次いで、「送料のみ」が29件(24.8%)であった。

図6. 機器貸出における利用者負担

同一データの表を次の要素に掲載している。機器貸出における利用者負担の種類を示した横棒グラフ。「利用者負担はない」が最も長く75.2%(88件)で突出している。次に「送料のみ」が23.1%(27件)で続き、「レンタル料がある」は1.7%(2件)と棒が非常に短い。

なお、レンタル料の価格設定についての回答は以下の通り。

  • 機器購入の検討を前提としない限定的なレンタルサービスの場合、1日1,100円+往復送料ご使用者負担(送料は貸出機器の大きさによって異なる)

まとめ

  • 利用者負担なしに貸出を行っているところが約8割(75.2%)。
  • 料金がかかる場合も、送料のみの負担であることが多い(29件、24.8%)。
  • 一部の機関では、レンタル料を設定しているが、2%以下ときわめて少ない。

(9)機器の在庫の管理方法

読書支援機器の貸出の在庫管理について尋ねた結果を図7に示す。各パーセンテージは、回答数(n=116)を母数とした(複数回答)。

結果として、「紙の貸出台帳に記入」が51件(37.2%)と最も多かった。次いで、「エクセル等に記入」が33件(24.1%)、「図書館システムに記入・実質的に管理」が30件(21.9%)であった。

図7. 機器の在庫管理方法の棒グラフ

同一データの表を次の要素に掲載している。機器の在庫管理方法の件数を示す横棒グラフ。「紙の貸出台帳に記入」が最も長く突出しており、次に「エクセル等に記入」「図書館システムに記入・実質的に管理」が中程度の長さで続く。「その他」と「カルテに記入」は棒が短く、件数が少ないことを示している。

集計結果

総回答数: 116件 総ラベル数(複数回答含む): 137件

  • 紙の貸出台帳に記入: 51件 (37.2%)
  • エクセル等に記入: 33件 (24.1%)
  • 図書館システムに記入・実質的に管理: 30件 (21.9%)
  • その他: 19件 (13.9%)
  • カルテに記入: 4件 (2.9%)

まとめ

  • 紙媒体(55件)よりも電子媒体(63件)ーエクセル・図書館システムでの記録が多い。
  • 紙の台帳とエクセルを併用している機関もある。

4. 調査結果のまとめ

以上、令和7年度「読書の際に使用する機器の貸出に関する実態調査」の結果を報告した。
この調査は、令和6年度(2024年度)の調査に引き続き、読書のための支援機器を借りることができる施設情報の拡充を図るものである。

同時に、前年度の調査の結果、読書支援機器を館外貸出している組織が少なく、地域的な偏りがあることが判明した。そのため、今年度は貸出が行われない背景を詳細に解明するための質問項目が追加された。また、事業種別ごとのクロス集計を加えることで、組織の性質による課題の差異を分析することも目指したものである。
まず、貸出が進まない主な理由として、「機器未所有・台数不足(50.0%)」という設備面の課題が最も多く挙げられた。次いで、「利用希望の欠如(27.7%)」や、高価な機器ゆえの「破損リスク・管理負担(25.5%)」など、運用面での懸念も大きな障壁となっている。

事業種別に見ると、図書館は「機器の台数不足」や「管理負担」を主な理由として挙げる傾向が強い。一方で、医療機関や障害者ITサポートセンターは「他機関・外部連携による対応」を選択する割合が比較的高く、特定の施設で完結させるのではなく、組織間の役割分担によって支援が成り立っている様子がうかがえた。
貸出条件については、組織固有の事情を含む「その他(44.3%)」が最大の割合を占めた。具体的には、①当該組織のサービス利用登録(ハンディキャップサービス登録など)を必須とするケースや、②購入・選定を前提とした試用としての貸出が多く見られた。

さらに、貸出対象を特定の障害種別に限定している理由としては、「視聴覚障害者情報提供施設」や「眼科」など事業の目的自体が視覚障害者に特化していることや、組織の運営規程(実施要綱など)による制約が示された。
これらの結果から、読書支援機器の貸出が広がらない要因は、単純な「ニーズの欠如」ではなく、継続的な貸出を支える仕組みの柔軟性やリソースの不足にあると考えられる。

実際に機器の貸出を行っている以下の3組織への取材では、各組織が創意工夫によって管理負担や破損リスクといった課題を乗り越え、独自の仕組みを構築している実態が明らかになった。

千葉県立中央図書館(公共図書館)
滋賀県社会就労事業振興センター(障害者ICTサポートセンター)
株式会社ケア・テック(福祉用具事業者)

しかし、現状では組織の性質や事業の枠組みによって、こうした柔軟な運用が制限されてしまう実態もある。したがって今後は、施設間の役割分担を前提としたネットワーク型の支援体制を構築するとともに、各組織が柔軟な運用を実現するための具体的なノウハウや情報の提供が重要であると考えられる。

テクノロジーハブの令和7年度活動アンケートへのご回答をお願いします

筑波技術大学読書バリアフリーコンソーシアムテクノロジーハブの2025年度の取組に対するアンケートへのご回答をお願いいたします。次年度のよりよい取り組みへの参考とします。下記のURLからご回答いただけます。

[Googleフォーム]2025年度テクノロジーハブの取組に関するアンケート

参考資料

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文部科学省令和7年度読書バリアフリーコンソーシアム事業
「図書館の障害者サービス用ICT機器利用支援に関するアンケート調査」
発行日:令和8年1月30日
執筆・編集:青木千帆子、山口和紀
発行:筑波技術大学
読書バリアフリーコンソーシアムテクノロジーハブ 事務局
〒305-8521
茨城県つくば市春日4-12-7
電話:029-858-9582
HP:https://www.i.tsukuba-tech.ac.jp/techhub/

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